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自己洞察瞑想療法の講習会なども始めました! → マインドフルネス@つくば

SIMTのアプローチするところ(物事の認識のステップの中で)

お盆の帰省中は、すっかり生活のリズムが変わりました。違った場所や環境で、瞑想をしてみると、またいろいろと違った事に気がつきます。やはりドタバタの中で、瞑想や洞察にさける時間は減っていましたが、それでも、時間を見つけては洞察や瞑想をやるようにしていました。とにかく日々に取り入れること、少しでも続けていくことが大切だと思っています。

 さて、今日は、私たちが、物事を認識して、どう頭の中、心の中で処理をされているかという事を通して、マインドフルネスが、どこに作用しているのかという点について考えてみたいと思います。

 通常、我々は、外界(環境)や内界(心の中、頭の中)で生じた刺激を、五感でキャッチし、それを認識し(言葉レベル、思考レベル)、それに解釈を加え(解釈・判断)、その結果として感情や身体反応が生じ、最終的に何らかのアクション(行動)を起こしています。

 これを模式化して書くと次のような感じです。

  ①(外界から、内界からの)刺激 → ②五感+③認識(言語・思考) → ④感情、⑤身体反応 → ⑥行動

 例を挙げてみると、

  ①リンゴをみる → ②視覚でリンゴの画像をキャッチ+③同時に、それを「リンゴ」と認識 → ⑤甘酸っぱい味が口に広がる → ⑥手にとってみる

 このとき、リンゴが好きな人があれば、③の「リンゴ」と認識したと同時に、「うまそうだな」という思考が入り、その後、④として、快の感情がわいてくる、かもしれません。
 リンゴがきらいな人であれば、この③と同時に、「うわ、まずそう」という思考が入り、④として、不快な感情がわいてくるでしょう。

内界からの刺激の例を挙げてみると、

  ①全身のだるさ、重さ → ②全身の触覚にて感知+③それを「全身のだるさ、重さ」と認識、不快な感覚と判断 → ④気分が滅入る、⑤さらに身体が重くなる、涙が出てくる → ⑥ベッドに倒れ込む、泣き続ける


 このようにして、すべての事象には、時間の長短はあれど、このステップが頭の中では行なわれています。
 そして、この作業は、無意識に、ほぼ自動的に行なわれているので、中々、改めて気がつくことはないですが、我々の頭の中で行なわれる情報処理のほぼすべてが、この模式図で説明することができます。
 
 さらに、この④感情、⑤身体反応が、新たな刺激①’となり、その①’に対して、②五感でキャッチし、③認識と、反応が続いていくこともあります(多くの場合、この営みがしばらく繰り返される)、 そして、最終的な⑥行動となり、外界に対して何らかの反応をしていきます。
 これらの反応が、同時に多重にそして、枝分かれして行なわれていくと複雑に見えますが、基本的な構造は、この模式図の通りです。

 様々な心理療法などは、この一連の過程のどこかにアプローチしているわけです。
 
 認知行動療法やマインドフルネスがアプローチしているのは、③の認識(言語・思考)のステップです。
 ここのステップをすこし詳しく説明すると、外界や内界の出来事①が、五感への刺激②として脳に伝わります。
 そして、その刺激に対して、過去の経験などからラベルが言語として与えられます(③の最初)。
 例えば、リンゴを見たとき、その瞬間には、赤い物体の映像そのままが視覚情報として飛び込んできますが、脳に伝わった瞬間、それは、「リンゴ」というラベルを与えられる訳です。
 そして、「リンゴ」というラベルが与えられた瞬間に、今度は「リンゴ」に関しての過去の経験や情報などが、一瞬にして処理され、「おいしそうだな」とか、「食べたいな」などの思考や解釈・判断が生まれます(③の後半)。
 
 これが、痛みや身体の重さなどの場合も、それ自体、ただの刺激でしかありませんが、それが脳に伝わり、「痛み」とか「全身倦怠感」とかのラベルを与えられ、それが自分の中の基準において、「不快な物だ」とか、「これから調子が悪くなる」など、自分の解釈や判断が生まれるため、その後の「不快な感情」や「心臓がどきどきする」などの反応へと続いて行くわけです。

 前回、お話した、鬱においては、ネガティブな思考そのものよりも、ちょっとした刺激に対する反応性の高さが、鬱の再発の原因になっていると書きましたが、この模式図でいうと、③の認識だけではなく、③の特定の認識・解釈と、それに伴う④感情・反応の結び付きが強化されているということになります。再発を繰り返すほど、この結び付きが強くなっていき、些細な刺激でも、特定の思考や解釈、そして、それに伴う感情や身体反応が簡単に引き起こされるようになってしまっているんですね。

 ここで、認知行動療法では、この③における認識・解釈を取り上げ、それを検討し、その判断・解釈をより有用なもの、妥当な物へと変えていきます。
 痛み刺激により、「痛み」というラベルがつけられたとき、「こんな痛みでは何もできない」「もっとひどくなるんじゃないか」といった思考から、不安や動悸などの感情や反応が出るとき、その「痛み」は、本当に何もできないほどの痛みか?何ができて、何ができないか?など、自分の中で行なわれていた自動的な反応を、一度、紙に書くなどして、外に出し、新たな視点でその解釈を再評価していきます。その結果、「痛み」は同じですが、「思ったよりいろいろなことができる」「ひどくならない時もある」といった事に気がつき、その後の「不安」や「動悸」などの反応が以前ほど強くなくなるというわけです。そして、こう言ったことを繰り返して行く中で、この「解釈」の癖が少なくなり、結果として、特定の「思考や解釈」と特定の「感情や身体反応」との結びつきが弱くなっていき、再発や調子を崩したりすることが、少なくなるということになります(理想的にいけばですが)。

 ここで、マインドフルネス、SIMTのアプローチでは、
 刺激があったら、その刺激をできるだけ、そのままにすることを目標にします。
 痛みが生じたら、それを五感で感じ、「痛み」と認識されます。そこで、その「痛み」に対して、様々な評価や思考が起こるわけですが、その評価をできるだけせずに、「痛み」を痛みのまま、そのままとするようにします。
 でも、これが、中々難しいわけです。
 「痛み」に対して、それに伴う評価や思考は、ほぼ自動的に生じてきます。もう、無意識の中で生じてくるので、最初は、「痛み」を感じると、瞬間的に「不安」や「動悸」が生じてくると感じるかもしれません。ステップ②五感からステップ④、⑤の感情、身体反応まで、瞬間的に生じてしまっているように感じます。

 そこで、SIMTでは、最初は、呼吸に意識を向けて、まず自分が「考えているのか、いないのか」というところから洞察を始めます。そして、自分の中で生じてくるすべての作用に「感覚」とか「思考」とか「身体反応」とかの、名前付けの練習をしていきます。
 この練習を、丁寧に丁寧に進めていくと、以前は、「痛み」の刺激から、「不安」や「動悸」が瞬間的に、自動的に起きていると思っていたのが、その「痛み」の刺激に対して、自分の中で何らかの思考や評価が行なわれていることに気がついてきます。
 でも、この時点では、起こることは起こっているので、「痛み」に対して「不安」や「動悸」が同じように起きています。ただ、その過程がもう少し詳しく見えてくるわけです。
 起こっていることは同じなので、何の変化もないように感じますが、この『過程が見えてくる』ことがすごく大切なことなんです。
 「痛み」に対しての、「思考、解釈・判断」といっても、よくよくこの過程をみていくと、この「思考・解釈・判断」もひとつの思考だけではなくて、いくつのも「思考や判断」が積み重なっていることが多々あります。そして、多くの場合、その解釈の結果生じる感情や身体反応が刺激となり、またそれに対しての思考や解釈が続くという、ループを限りなく繰り返していることが多いです。
 そこで、その過程に気がつけるようになると、その過程の途中で、「今、思考に走ったから、その意識を呼吸に向けよう」と、その悪循環を止められる可能性が出てきます。
 まあ、そうは言っても、すぐには止められず、またすぐに思考や評価が始まり、その結果の反応は出てしまうのですが、その都度、丁寧に呼吸に意識を戻していくことをトレーニングしていくと、「痛み」の刺激から、早い段階で、その思考・評価にブロックをかけることができるようになります。それが早くできるようになればなるほど、その後の「不安」や「動悸」の反応も少なくなってきます。

 これが、SIMTにおいての悪循環の止め方です。

 SIMTを学ぶ上で、まちがえやすいのは、いきなり「不安」や「動悸」などを止められると思ってしまうことです。
 「不安」や「動悸」といった④感情、⑤身体反応の段階は、もう自然に起こっていることなので、これを止めることはできません。
 その前段階の③思考や解釈・判断をしてしまったら、もう、④⑤といった感情や身体反応は出てきてしまいます。
 この思考や解釈をほったらかしにしたままで、④⑤の感情や身体反応を抑えることは決してできません。
 そして、もう出現してしまった④感情や⑤身体反応は、出現してしまった以上、すぐに消すことはできません。無理矢理消そうとするあらゆる行為や方法は、多くの場合、むしろ悪化させてしまうことが多いです。この場合、時間のみが一番最良の解決方法であることが多いです。
 なので、起こってしまった感情や身体反応は、それ以上、悪循環にいかないように、やはり、思考や解釈をできるだけ、止めて、呼吸に意識を向けつつ、時間がたつのを待ちます。数時間か、数日か、その起こってしまった感情や身体反応の大きさにより必要な時間は様々ですが、時間が経てばかならず、落ち着いてきます。

 なので、SIMTの効果がでるまでには、必要な段階があります。
 まず、呼吸に意識を向ける事を身に付け、その中で、生じてくる事に名前をつけられるようになること。
 1~3くらいのステップでは、とにかくこのことを、身に付けられるようにトレーニングしていくことが大切です。
 この段階では、まだ症状に変化は感じないかもしれません。でも、まずは、この段階を丁寧にやり、呼吸に意識を向けること、感覚に意識を向けることなど、注意や意識を自分の意思で動かすトレーニングをすること、そして、現象に名前をつけるトレーニングをすることが大切です。

 その結果、次の段階では、自分の中にありがちな過程が見えてきて、③思考、解釈・判断の段階に、ストップをかけられるようになります。ここで、大切なのは、思考や解釈を止めようとして、内容を変えようと思わないことです。「もっとこういう風に考えてみよう」とか、「ポジティブにならなくちゃ」など思う必要はありません。そうしようとすると、さらに③思考、解釈・判断からの悪循環のループに絡みとられていきます。
 大切なのは、③に気がついたら、それ以上、そのステップを続けないように、意識を呼吸の方などに向けてあげることだけです。
 でも、これを少しずつでも続けていくと、以前よりも、「感情」や「身体反応」が悪化しないことが少しずつ実感してくると思います。
 しかし、この時点では、またつらい「感情」や「身体反応」はあります。なくなるわけではありません。あくまで以前ほど悪化しなくなるといことです。

 そして、この基本的なトレーニングを続け、ブラッシュアップされていくと、さらに早い段階で、自分の中の③思考や評価を止められるようになってきます。いままで自分ではきがつかなかった評価や思考にも気がついてくるかもしれません。そうすると、もう「痛み」といった刺激があっても、「感情」や「身体反応」が出ても気にならない程度で③の部分をブロックできたり、さらには、③の思考や評価の基準自体が、変わってくることがあります。
 こうなると、症状はもうでることもなくなってきて、かなり改善が実感できていると思います。

 今回の内容は、すごく大切なことだと思います。
 なぜなら、多くの場合、鬱で苦しんでいる人にとって、この「感情」や「身体反応」といった症状がつらいから、それをなんとかしたくて、このSIMTを始めるわけです。でも、この「感情」や「身体反応」を最初から消そうと思えば思うほど、SIMTはうまく行きません。
 なぜなら、「感情」や「身体反応」そのものは、僕らの意思の力ではどうにもできるものではなく、むしろどうにかしようとすることで、悪化させてしまうからです。
 でも、SIMTのステップを丁寧に実践していって、この③にアプローチできるようになってくると、自然と、その結果の④感情や⑤身体反応は変化して行きます。
 ここが、以前から何度も書いている、『SIMTはそれ自体、症状などを消す物ではないけど、SIMTを続けていれば、結果的に症状は軽くなるよ』と言っている部分なんですね。

 今日は、すっかり長文になってしまいました。
 でも、SIMTを実践していく上で、すごく大切だと感じた事をなんとか文章にできたかなと思います。
 おつきあいありがとうございました。何か参考になったことがあれば、幸いです。
 
 つらい症状に向き合われている方も多いと思います。ぜひ、あきらめずに実践を重ねていってください。
 

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鬱になって苦しんでいたときにマインドフルネスと出会いました。
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私にとって先達者の方々のブログが参考になったように、このブログが同様に苦しんでいる方々に少しでも助けになればと願っています。

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