本当にご無沙汰していました。今は、体調も徐々に回復し、仕事へも復帰してきています。まだまだ体調にも波があるので、注意しながらやっていこうと思います。でも、この1年でいろいろな事を学び、洞察を続けながら、今できることを続けていくことが大切だということを改めて感じました。一歩一歩進んでいこうと思います。
さて、今回、以前、マインドフルネスを学んだ方から、ライフイベントをきっかけに体調を崩しててアドバイスを欲しいというコメントを頂きました。私も同様にライフイベントで調子を崩してしまったので、うまいアドバイスが言えるかどうかわかりませんが、この1年で学んだことを振り返って、少し書いてみようと思います。
SIMTをやっている方にも参考になる部分もあるかと思い、新しい記事として書かせていただきました。
まず、生きていると色々なことが起こります。いいこともありますが、悪いこともあります。どうしても避けられないストレスにさらされることがあります。だから、調子が崩れてしまうことがあるのは、必ずしもわるいことだったり失敗だったいだったりするのではなく、しょうがないときもあります。大切なのは、そこから回復するための方法や手順のようなものを自分なりに持っていることだと思います。そして、できることを続けていくことです。
まず始めに洞察です。
これは、今の自分の状態を見極めるためにも大切です。自分の中に起こってくる現象に名前を付けていくことで、自分自身を洞察していきます。
すべての事や体験は、まず五感を通って意識に「認知」されます。これが第一歩です。
そして、その「認知」の仕方に伴って、様々な「感情」が起こったり、「身体反応」が起こったりします。その結果として、何らかの「行動」を起こします。その結果をまた「認知」して・・・というように、体験は繰り返されていきます。
ここで大切なのは、我々が意識的に変えたり選択したりできるのは、「認知」と「行動」だけです。そして、それらも一部のみといったほうがいいかもしれません。
自分の「感情」や「身体反応」は自分の意識の力では変えることができません!!!
ここ、大切なところです。
ついつい、自分の不快な感情や身体反応を改善したいと思って、色々試してたくなりますが、基本的に、「感情」や「身体反応」を意識の力でコントロールすることは不可能です。
じゃあ、SIMTやマインドフルネス、呼吸法をやっていると、「感情」や「身体反応」が和らぐことがありますが、これは、あくまで「感情」や「身体反応」がそれ自身の自然な経過の中で改善していくということであり、意識の力で「感情」やs「身体反応」を改善させることはできないと捉えていたほうがよいと思います。
燃え上がった火を水で消火することはできないけれど、仰いだり、薪をくべたりするのをやめると自然と火が小さくなっていくのとおんなじです。
あくまで抑え込もうとせず、かといってただ我慢して無視するというわけではなく、そんな不快な「感情」や「身体反応」に居場所を作ってあげて、自然と落ち着いてくるまでそっとしておいてあげるというスタンスが大切です。
では、意識の力で変えられるという「認知」と「行動」ですが、この「認知」の部分に関しては、物事が起こったり、様々な感情や身体反応を経験した瞬間に、ほぼ自動的に「認知」が起こり、その瞬間に「評価」も起こるので、なかなか手を加えることは困難です。もしこの評価を少しでも変化させたいと思うならば、認知行動療法の手法を用いて、実際に書き出してみて、やってみることをお勧めします。
SIMTでは、この「認知」の中で同時に起こってくる「評価」「思考」についても、それを無理に変えようとしたりせず、ほおっておこうという考え方なのだと思います。
特に、調子が悪いときに襲ってくる「自己否定の評価や思考」は、とめどもないものです。パワフルで、すぐに意識がそちらにもってかれますし、本当につらいです。でも、だからこそ、繰り返し、「今、ここ」に意識を戻していくのが大切です。
イメージとしては、ラジオを聴きながら作業をする漢字をイメージしてもらうといいと思います。ラジオを付けておくと、番組の内容が気になりますが、聞きながらでも作業を続けることはできますよね。ときにラジオに意識が向きますが、またい「今、ここ」の作業に意識を向けることはできます。そして作業をしていくと、ふと、ラジオが気にならない瞬間もあったりしますよね。そんな感じで、気が付いたら、そんな思考や評価が収まってきたということが多いです。
では、どうしたら、そうやってつらい時期を乗り越えていくことができるのか。
それが、最後にのこった「行動」の部分にあります。実は僕らが選ぶことができるのは、この「行動」の部分だけなんですね。
それも、その一部ということです。調子が悪いときに、できる事って限られますよね。でも、その少しの選択の中で、自分の価値に基づいた行動をしていくことが本当に大切なんです。
つらい「認知」(自己否定の評価や思考)から、不快な「感情」や「身体反応」が生まれると、当たり前ですが、その状態から早く抜け出したいから、このつらい「認知」や不快な「感情」、「身体反応」を少しでも減らしたい、なくしたい、この場から逃げ出したいという「衝動」が生まれます。この「衝動」が生まれるのは、自然なことです。人間であっても動物なので、目の前の危機や不快から、逃げ出そう、それと戦おうという「衝動」が生まれるのは、本能といってもいいものです。
しかし、この「衝動」に従って、感情や身体反応と戦ったり、もしくは、それを過度に避けようとして、逃げ出したり、寝込んでしまったりすると、「短期的には」、その状況をコントロールできたように思っても、結果的には、さらに「感情」や「身体反応」を悪化させてしまうということが起こります。
希死念慮が生じたときの自殺未遂行為や、感情を爆発させたときの家具などの破壊行為、やらなければならないと思っていた約束をキャンセルしてしまった時などがそうかもしれません。
もちろん、そうせざるを得ないときもあるのですが、「短期的な効果」を求めて、これをやってしまうと、どんどん体調を悪化させて、負のスパイラルに陥ってしまうことが多いです。
なので、ここで大切なのが、自分の「価値」を思い出すことです。そして、少しでもいいので、その「価値」を大切にする行動、実現する行動に、自分の「行動」を向けていくことが大切です。
例えが、今の僕だと、やはり「家族を守りたい」という「価値」があり、「願い」があります。だから、調子が悪い日でも、とにかく仕事に行くという選択をしています。ここで、「仕事のでき」という事にはあまりこだわらず、ありのままに、今できる範囲でできることをしていきます。体調が悪い=何もできない、ではなく、体調が悪い=そんな体調の中でできることをやる、という選択をしているわけです。体調が悪い→「こんなに体調が悪くては仕事にいけない」「悪化させないために休む」のではなく、「今できる範囲で仕事をすすればいい。家族を守るために仕事をする」という風に考え、行動を選択していくわけです。
ほかにも「体力をつけたい」という願いもあります。これは「自分の好きなことをいろいろやりたい」という価値、願いに通じているものです。そのために、気分がのらない日に、「家に閉じこもる」という選択をせず、、「散歩をして体力をつける」という選択をしていきます。
こうやって、体調がしんどいときに、それをコントロールする行動をせずに、少しでも価値に基づいた行動をすることで、「今、できたこと」を認めてあげる、それを選択した自分をほめてあげるということをやっていきます。
体調そのものをコントロールできなくても、こうやって何とかしんどい時期をしのいていくと、自然と体調が少し楽になる時期がやってきます。ゼロにならなくても、つらさが5割とか7割くらいになってくるときがかならず来るはずです。
そこまで何とかしのげると、初めて、永遠に続くように感じたつらい感情や体調も、かならず改善するときがくると感じられるようになります。そして、そのつらい時期に少しでも自分で価値実現のためにできることがあったこと、そういう選択をできた自分に自信が持てるようになってきます。
もちろん、これは、右肩上がりの一方的な道ではなく、うまく行くときがあり、感情や体調に負けて衝動的に行動し、自己嫌悪になるときがありという感じで、楽な道ではありません。でも、回復というのは、この一歩一歩を、少しずつでもやっていくしかないのではないかと、自分は感じています。
最後に注意点としては、用事を休んだり、横になったりするのは、決してすべてが逃避であるというわけではありません。
大切なのは、「短期的に」「短絡的に」、そして「感情や身体反応をすぐにコントロールするために」それらの行動をとることは、結果的に良くないことが多いが、「長期的な視点で」、今の自分には休みが必要だなとか、今の自分には大きすぎる課題だからこれはキャンセルしようという選択が取れているならば、休んだり、用事をキャンセルすることは悪くありません。
呼吸法や瞑想を行う時にも同様なことが言えて、「今の自分をすぐに楽にしたいために」、呼吸法や瞑想を行ってしまうと、うまく改善しなくて、逆に焦ったり、がっかりして体調が悪化することが多いです。
呼吸法や瞑想は、マインドフルネスな態度、受け流していく姿勢、つらい思考ばかり巡らせないで「今ここ」に意識を戻していく習慣、を身に着けるために、日々、淡々と行っていくことが大切だと思います。
相談者の方を始め、今もつらい時期をお過ごしの方がたくさんいらっしゃると思いますが、月並みな言葉でありますが、止まない雨はありません、明けない夜もありません。かならず、楽になってくるときが来ます。大切なのは、なんとかそこまで乗り切ることです。それが経験となって、自分の回復の特徴、悪化するときのパターン、対策方法などの経験値がたまっていきます。
私も、日々、練習だと思って過ごしていますので、どうか、皆さんもあきらめずに、でも頑張りすぎずに、大変な時は、目標を分割え、少しのことでも達成できたら自分をほめてあげて、やっていきましょう!
また、体調の具合をみつつ、この1年学んできたことや感じたことを、このブログで書いていくことができればと思います。
更新の頻度はお約束はできませんが、また気が向いた時にのぞいていただけたらと思います。
少しでも参考になることがあれば幸いです。
ではでは、見て下さった方の1日が少しでも楽になることを願って。